ones-house 補足と感想と考察と雑記

Ones House についての、説明補足と、やっていての感想です

現状、写真家におけるプロと言う概念について

先日よく行くコーヒー屋さんのマスターと、
自分の大家さんと、
自分とで食事をする機会があり、
その時、自分の写真についての話となり、
それが中々考えさせられた所があったので、
少し書きたいと思います。

よく行くコーヒー屋さんとは、
チョコチョコ話でいるので、
写真家と呼ばれる人たちの現状など、
要は作品を売って食べている訳ではなく、
副業が往々にしてあるとこ、
また作品におけるこだわり等、
全く馴染みのない人よりかは、
よくよく理解してもらっていると思ってます。

その上で、
自分を紹介する時は"プロの写真家さんなんだよ"
と言って紹介してくれているそうです。

「肩書きで作品を見てもらいたくないのは知っている。
純粋に作品だけで好きか嫌いか判断して欲しいというのも。
ただしかしながら、
やっていない人からすると、
プロと言う言葉に弱い部分もある。
誰が撮ったか分からない写真より、
”プロ”が撮ったと言うことにより、
よくよく時間をかけてみてくれる。
まずは見てもらわないことにははじまらない。」

そしてこうも言われました。

「自分の場合はコーヒー屋をやっていて、
まずお店を知って貰わなくてはならない。
ただ、
一辺にお客さんが来るのも困る。
遠路はるばる来たお客さんや常連さんに、
忙しさの余り一言二言、
声もかけられないのでは申し訳ない。
如何なる時も自分の納得したサービスをしなくてはならないし、
その環境を整えることも大事。
そこら辺が何とも難しい。」

それを聞いて、
強いプロ意識と言うものを感じました。

プロ、
と言うことを考えた時、
ジャンル等は違えど、
どこか共通した根底と言うものはあって、
その話の中で、
品質を保つこと、認知される様努めること、
多分他にもあるのでしょうが、
そう言ったものは確かにあるなぁと思いました。
あとはそれを継続することにあるのかと。

まず継続すること。
自分の場合はその部分を最優先に考えやっています。
費用をかけて幾ら品質を高くしても一回きりだと意味がないし、
余りに間があいてしまうのも良くない。
かけられる費用というのも持ち出しでやっているので、
好む好まざるを別にして限界はあります。
継続が可能であると言う前提の下、
出来る限り良くしようとしての結果が現状な訳です。

また、
”プロ”の写真家ということでやっていますが、
自分の意識の中でのプロ、
その拘り等の主たるところは発表と制作を、
結果が伴おうが伴かろうが続けている所です。
これは地味に大変で、
一見すると誰にでも出来そうですが、
でも実際プロとアマチュアと分かつ所はそこだと思います。

どうしても”プロ”と言った時、
お金との絡みを連想してしまいますが、
経済学か何かでも、
仕事の本質は営利ではなく、
することによって人として成長を促すこと、
営利はその手段である、
と言った旨のことを誰かが言っていましたが、
自分でもそうだなぁと思います。
(お金を稼ぐこともとーっても大切なこととは重々承知ですが)

現代美術等の場合などは、
費用を稼ぐことも含めての活動とうい傾向があるように思いますが、
それゆえの制約と言うものもあるとも思います。

作品の販売により制作費を捻出しようとした場合、
相応の費用を出せる人も限られてくるでしょうし、
それに伴うしがらみもあるかと思います。
発表する場所(土地)も制限されてくる様な。
某漫画家があとがきにて、
サイン会をするにあたり、
ファンの人がいるなら本当は全国のどこででもやりたいけれど、
ある程度の費用回収の見込みのない場所でないと出来ない、
都市圏、限られた場所でしか出来ないともかいてありました。
そう言ったことは、
おそらくお金が絡む限り発表と言う行為に対しても出てくるでしょうし、
自分の場合はあくまで西脇を撮影した作品を、
西脇の人にまずは見せたいのだから、
結果、費用捻出を副業にした方が現状都合がいいのでそうしています。
が、どちらが正しいとも思いません。
あくまで一長一短なのかと思います。

だた、しかしながら、
コーヒー屋さんとの会話の中で、
自分は漠然と見るともなく見る機会と言うものは、
屋外壁面の壁で増やせたと言えなくもないものの、
しっかりと、まじまじと見て貰うと言う機会、
そう言った部分は足りない、
怠っている部分が強いなぁと痛感しました。

まだどういうやり方が最良かも分からず手探りの状態ですし、
どうなっていくのかも分かりません。
むしろそこら辺の労力を制作にかけられる様、
その環境の整った所に身を置くと言う選択を、
他の人がしていたとしてもそれをどうこう言うつもりもありません。

ただ現状として、
やはりやっている人とやっていない人との認知、認識のずれ、
そう言ったものを自分の望む形に近づけようとした時、
やはり人に任せるのではなく、
自ら動いていく必要があるのかと思います。

メディア等もまた、メディア特有の文脈と制約が伴っているので、
そこへ過度の依存は良くないとも思っています。
あれは現実の活動があってそれを拡張するものであって、
まずはメディアから切り離された所での活動がない限り、
本当の意味での機能はしないと思います。
元より写真を専門とした出版・取材等をしているメディアが、
写真に携わっている自分でも、
(自分がどの程度詳しいかも分かりませんが興味は常に持っています)
知る限り関東圏にしか殆どない時点でひどく偏った存在だと思います。
(関西圏ではartscape?他は拠点を関東においている方が足を運んで位か
なぁと言う認識です。知らないだけかもしれませんが…)

また無駄にだらだら長くなってしまいそうなので、
(今の時点でも十分無駄に長いですが)
とりあえずここで中断します。
ではでは。

追記

写真家の"プロ"と言う形であれこれ書いたのですが、
何やら違和感も強く、
よくよく考えてみると、
実際作品だけで生計を立てている人でさえ、
"プロ"の写真家という言い方はせず、
写真家という肩書きを用いています。
まぁそれ故概念として曖昧に分かりづらくあるとも思うのですが。

また実際ここら辺の話は、
不毛な議論にしかならないからと、
皆言及を避けている傾向もあり、
それが余計に不明確さを助長しているのかなとも。
逆に"プロ"と言うことを強調することがみっともない、
虚勢を張った行為とみなされる所があるのかもしれません。

なので自分の書いたところは、
プロ、ノンプロと言うよりも、
写真家としての自分のプロ意識としての部分はこうだ、
と言ったよ様に理解してもらえると、
ニュアンスとしては一番近いのかなと。

何やら言い訳がましいことばかりで、
またそれは自分も含み、
分野として未成熟ゆえの不甲斐なさでもありますが、
とりあえず考察の一つとしてお読みいただければ幸いです。


 

 

自宅で展示していることについて

自分でも何でまた、
と、思わないでもないのですが、
ほぼ人の来ない自宅で展示をしています。

かつて森山(大道)さんがやっていた、
Room801を真似てみようとかではなく、
TAPと言うギャラリーを抜けて、
西脇に移るまでの一年間の中で、
壁に写真をかけたいと言う衝動が出てきて、
それを満たそうとした時、
それならお金もかけず自宅に、
と言う流れが続いていると言った感じです。
(詳しくはこちらをご参照ください→half cork 展示を振り返ってのエッセイ

もう一つは、
西脇ではじまる(もう一年にはなりますが)新しい生活の中で、
仕事を前もって決め移っているわけでもなく、
どれ位のお金がかかるかも分からない中でも、
写真を展示すると言う行為を、
途切れさせたくなかったと言うのがあります。
webだけでという方法もあるのでしょうけれど、
自分の中では、
”壁にかける”までが写真行為の一つの区切りとなっていて、
また、
webはあくまで実存に対し、
在するものだという考えもあります。
影と言いますか、
これまで実際展示を続けていたこともあってか、
webだけの頼りなさというものを感じるのと、
(webのみの展示というものもやってますがあれはあくまで遊び的要素で)
あとは壁にかかるその空間というものが、
自分には理屈ではなく欲するものだからと言うのもあるのかと。
誰にも見られなかったとしても、
そう言った形にせずには、
次に進めない、
そして前述したように途切れさせたくないとのことより、
この様な形をとっています。

そう言ったベースを作っておいた上で、
直接もっと人が来やすい場所を借りる余裕が出てきたら、
そこでやればいいのかと。
また、
そう言った場所も人が沢山来る様にと、
東京をはじめとした都市部ではなく、
西脇でやっていけたらと。

自分がやっている写真行為と言うものが、
どんな場所でも成立しないことには、
自分が東京で関わっていた写真と言うものは、
いつまでたっても極限られた関係者だけで回している、
閉じた世界のままなのかと。
また、
地方で写真をやることの課題と言うのも、
東京にいながら考えるのではなく、
自分が体現する中で考えてみたいと言うのもあります。

書けばきりはないので、
具体的な部分はまたおいおい書けたらと。


ご挨拶として

ここではタイトルの通り、
webでは足りていない補足説明と、
西脇と言う土地で展示をしている上での感想、
また、そこより派生した考察、
諸々含めた雑感を書いていこうと思います。

元々のwebでは、
実際展示を振り返ってのエッセイ等で書いていたのですが、
そうすることによって、
webサイトが文字だらけになってしまっていたので、
Ones Houseのサイトでは、
はてなダイアリーを利用することにしました。

そして実際書こうとしてみたところ、
あれこれ推敲している内に、
時間だけがトンと過ぎていってしまい、
一向にwebにあげないと言う悪循環におちいっているので、
内容として足りない部分もあるかとは思いますが、
土日のどちらかに何かしら上げていこうかと。
足りない分は、
更新する中で改めていければ良いかなと書いています。

稚拙な点も多く見受けられるかとは思いますが、
なにとぞご容赦いただけましたらと。

齊藤明彦